平方完成(Part3)
難易度☆(低:基本的な展開、因数分解ができる程度の方)
はじめに
皆さんこんにちは!
「二次関数」 のPart3
この記事では平方完成について解説していきます。
前提知識
基本的な展開・因数分解が分かれば大丈夫です。
導入
Part1,Part2では、二次関数の性質(特に\(x^2\)の性質)の観点から二次関数を分析してきました。
Part3からは、二次関数を数式から分析していきます。
これによって、「二次関数のグラフがなぜ放物線となるのか」「グラフの頂点や軸」「最大・最小値」など他にもいろいろありますが、
これらの答えを論理的に導き、理解することができます。
数式で分析をするならば、その数式が簡単であればあるほど分析や変形がしやすく、嬉しいですよね?
二次関数の\(y=ax^2+bx+c\)という式には\(x\)が含まれる項が2つもあります。多いですね〜。その二つの\(x\)をまとめる操作(式変形)を平方完成といいます。
次のsectionで具体的な平方完成の方法を見ていきましょう!
平方完成
計算手順
① 二次の係数\(a\)で定数項以外をまとめる② まとめた式の中身を $$\left(x+\frac{p}{2}\right)^2 = x^2+px+\frac{p^2}{4}$$ を用いて\(x\)をまとめる
③ 少々展開する
二次関数の\(y=ax^2+bx+c\)という式のまま変形すると見にくいですから、一度具体的な、下の二次関数を平方完成してみましょう。
$$y=2x^2+4x-3$$最終的な計算過程
$$\begin{align*} y &= 2x^2+4x-3\\ &= 2\left(x^2+2x\right)-3 \quad {...\large ①}\\ &= 2\left[(x+1)^2-1\right]-3 \quad {...\large ②}\\ &= 2(x+1)^2-5 \quad {...\large ③} \end{align*}$$前のsectionで述べたように、\(x\)が2つの項に存在するのでまとめていきたいですね。
まずは、2つの\(x\)の項を二次の係数でまとめておきましょう。
$$2x^2+4x-3=2(\underline{x^2+2x})-3\tag{1}$$下線部の\(x^2\)と\(x\)を一つの項にまとめる武器として
\(x^2 + 2px + p^2 = (x+p)^2 \tag{2}\)
が、適切にpの値を設定すると使えそうです。\((x+p)(x+q)=x^2+(p+q)x+pq\)でもできなくはないですが、pとqという2つの文字を使う必要があまりありません。
(1)と(2)のxの係数から\(2=2p \Leftrightarrow p=1\)なので
$$x^2+2x = (x+1)^2-1$$より
$$\begin{align*} y &= 2\left(x^2+2\right) - 3\\ &= 2\left[(x+1)^2-1\right]-3\\ &= 2(x+1)^2-5 \end{align*}$$このように変形するとxが一つの項にまとめられました!この操作を平方完成といいます。
補足として、\(p\)に当たる部分を素早く見つける方法があります。
\(y=ax^2+bx+c\)を平方完成すると\(y=a(x+p)^2+q\)と表せて、その\(p\)は \(p=\frac{b}{2a}\)で求められる。
\(q\)は\(a(x+p)^2\)を展開したときの定数項とcを比較して求める。
例えば、\(y=-2x^2+4x+3\)で考えると、\(p=\frac{4}{2\times(-2)}=-1\)より
$$\begin{align*} y &= -2\left[x+(-1)\right]^2+q\\ &= -2(x-1)^2+q \quad {\scriptsize \leftarrow \text{ここで展開する}}\\ &= -2x^2+4x-2+q \end{align*}$$
\(-2+q\)が\(3\)であればいいので\(q=5\)より
$$-2x^2+4x+3 = -2(x-1)^2+5$$例題と練習問題を載せました。ぜひ解いてみましょう!
例題
1,次の関数を平方完成せよ $$y=x^2+3x-1$$
2,次の関数を平方完成せよ $$y=2x^2-6x+5$$
練習問題
(1) \(y=x^2+6x+2\)
(2) \(y=x^2-5x\)
(3) \(y=3x^2-6+11\)
(4) \(y=-2x^2+7x-3\)
まとめ
- 二次関数は \(y=ax^2+bx+c\,(a\neq0)\) の形を持つ。
- 一次関数と異なり、グラフは直線ではなく放物線になる。
- 傾きはxに応じて変化する(一定ではない)。
次回
次回は、二次方程式の解の公式と判別式について解説します!
Part4